アメリカ合衆国ニューメキシコ州ルナ郡で2021年2月4日、警察が停止を求めた車のドライバーである容疑者が警察官をライフルで射殺、その後さらに警察官一人を拳銃で負傷させ、最終的に警察官が容疑者を射殺するという事件がありました。
この事件で警察官1名と、容疑者1名が死亡し、警察官一人が負傷しました。
事件は州間高速道路10号線東行き、デミングの東のマイルマーカー102付近で、ニューメキシコ州警察のダリアン・ジャロット巡査が白のシボレー・ピックアップに停止を求めたこと所から始まりました。
ダリアン・ジャロット巡査は容疑者であるオマー・フェリックス・クエバ(39歳、デミング在住、以下クエバ容疑者)に車から降りるように指示、するとクエバ容疑者はアサルトライフル(AR-15)を手に持ち、ジャロット巡査に向けて発砲。
ジャロット巡査はこの銃撃を受けて死亡しました。
その後、国土安全保障調査局(HSI)の捜査官が現場に到着し、ニューメキシコ州警察の本部に警官が倒れていると無線で連絡し、州と地元の法執行機関に緊急配備が発令されました。
それからしばらくして、ニューメキシコ州警察の警察官2人がクエバ容疑者を発見しました。
クエバ容疑者は車を止め、警察官2人に向かって発砲、警察官も応戦するも、クエバ容疑者は車に乗り再度逃走を開始。
これを受けて、ニューメキシコ州警察を支援すべくラスクルーセス警察(以下LCPD)、ドーナアナ郡保安官事務所(以下DASO)、米国国境警備隊(以下USBP)の警察官が出動し、容疑者の追跡を開始しました。
その後、ニューメキシコ州警察の警察官がクレバ容疑者の車ににタイヤ空気抜き装置を使用することに成功。
クエバ容疑者はそれでも車を止めず、さらに東に向かって逃走。
この逃走の間に、DASOの保安官がクレバ容疑者に警察支給のライフルで2度発砲、さらにUSBPの捜査官がクレバ容疑者に向けて1発発砲しました。
それでも車を止めない容疑者に対し、LCPDの巡査(エイドリアン・デ・ラ・ガルザ巡査)がPIT(Pursuit Intervention Technique)、簡単に説明すると、パトカーをぶつけて停止させる作戦を実行。クレバ容疑者の車をスピンさせました。
クレバ容疑者は車が完全に止まる前に、銃で武装して車を降り、LCPDの警官とDASOの保安官に向けて発砲。
LCPDの巡査で、先ほどパトカーをぶつけて停止させたエイドリアン・デ・ラ・ガルザ巡査が被弾しました。
(その後、テキサス州の外傷病院に空輸されるも、幸いにも命に別状はなく、治療を受けて退院済み。)
現場に居た警察官がクレバ容疑者の銃撃に応戦、クレバ容疑者はその場で倒れ身動きがとれなくなった所を警察官に確保されました。その後、警察官により救急隊員が到着するまでの間、懸命な救護活動がありましたが、クエバ容疑者は致命的な怪我を負っていたため現場で医療調査官により死亡が確認されました。
これ以降の捜査はニューメキシコ州警察の捜査局によって進められるとのことです。
この事件で、クレバ容疑者に射殺されたニューメキシコ州警察の警察官はダリアン・ジャロット巡査(Darian Jarrott)は2014年12月に法執行官の資格を取得し、New Mexico Department of Public Safety(NMDPS:ニューメキシコ州公安局)の旧自動車輸送部門で勤務を始め、2015年7月には、ニューメキシコ州警察官となり、銃撃の日まで勇敢に勤務したとのことです。
ダリアン・ジャロット巡査には、事件当時3人の小さな子供がいて、間もなく4人目の子供が生まれる予定でした。巡査は、2021年2月12日(金)、ロルスバーグのシェイクスピア墓地にて、個人葬で安らかに眠りにつきました。
この事件の様子は、アメリカ合衆国の法律に基づき、事件の様子が公開されています。
事件の様子はYouTubeの認証済みチャンネル「PoliceActivity」で公開されました。
公開された動画へのリンク(衝撃的な映像であるため視聴は推奨しません)
リンク:Dashcam Footage From Fatal Shooting of Officer Darian Jarrott
近江通信では亡くなられた勇敢な警察官の冥福をお祈りします。
読者の皆様におかれましても、今一度、彼のために祈って頂ければ幸いに思います。